収納しないブログ

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「ありのままの自分」で戦わない。アラフォー女性目線で読む50代男性向け婚活本「中年婚活」

今週のお題「最近読んでるもの」

収納しない系お片付けブロガーの優多(ゆた)です。

先月発売されたばかりの、ノンフィクションライター中村淳彦さんの新著「中年婚活 」を読みました。副題は「50歳、年収450万円からの結婚に必要な30の法則」

タイトルの通り、50代の未婚男性をターゲットとした婚活ハウツー本ですが、「アラフォー既婚女性」の立場で読んでも非常に面白く、妙にすっきりした読後感が得られる1冊でした。

著者の中村淳彦さんはアラフィフで、いわゆる団塊ジュニア世代。3年前に当時の奥様を病気で亡くし、その後、婚活アプリで知り合った同じ年齢のキャリアウーマン美女と再婚され「完璧な結果を伴う婚活を短期で成功させた」当事者です。

新著「中年婚活」では、男性の生涯未婚率が約3割に迫るなか、同世代に向けて「ありのままの自分で戦わない婚活」=「ポジティブに理想を叶えるのではなく、現実に足をつけながらなるべくミスを犯さない守備と防御の婚活」を提唱しています。マッチングアプリを活用した自身の婚活や、ノンフィクションライターの仕事で培った「傾聴」の経験に基づいた「婚活を成功させるための法則」が30個、提案されています。

 

婚活をしているわけではなく、想定読者層とは性別も年代も異なる私が「アラフォー既婚女性」目線で特に感銘を受けた「法則」を3つご紹介します(カッコ内は書籍での法則番号)。

 

①プライドを捨て、自慢話するのをやめよう!(法則5)

ジェンダーギャップは大きな課題となって、数年前から男女共同参画、男女平等の取り組みは急速に進められています。(中略)アラフィフ中年男性が婚活するにあたって、まず長年培われた男尊女卑の意識をリセットして、自慢話や先輩風を吹かせることは封印しなければなりません。みなさんが女性にモテるためには、大前提として口をつぐむ必要があるのです(「中年婚活」41頁より引用)

ノンフィクションライターで、婚活やパパ活をする女性を多く取材する著者は「おじさんは自分の話ばかりする」「おじさんは自慢話する」という嘆きを日常的に聞いているそう。

「女性に自慢話をして、婚活が成功することはありません」と断言し、「女性や若者に対して上から目線で教えを説いたり、説教したり、昔話や自慢話するなど、もう言語道断な行為」と一刀両断します。

「おじさんの上から目線のアドバイス」に辟易した経験、みんなあるよね…。私も過去記事に書いてました▽

yuringo738.hatenablog.com

「プライドを捨て、自慢話するのをやめよう!」、婚活の場面だけでなく、飲み会の席にも拡大コピーして貼っておきたい名言だと思います。

 

②親の幸せより、自分の人生のほうが大切(法則8・62頁)

ここで筆者の提案は「親の介護を放棄しよう!」ということです。理由はいくつもあります。まず一つは、将来アナタと結婚する女性は義父母の介護は絶対にしたくないということです。義父義母の介護を積極的にしたい、献身的に貢献したい女性はいません。いくら探してもいないはずです(「中年婚活」65頁より引用)

人口ボリューム層である団塊ジュニア氷河期世代が前期高齢者となる2040年に、若年世代の減少により社会保障の持続が困難になる「2040年問題」に触れ、「これまでの人生も、未来も不遇が決定しているアラフィフは、親の幸せな終末期より、自分自身の人生の方が大切という意識が絶対に必要です」「親のために未来の妻に介護をさせる、介護離職などは言語道断の愚行」と強調しています。

つまり「親の介護は放棄しよう」ということ。景気の上昇局面とバブルを経験し、普通に働いていれば賃金も上がり資産も増えた「恵まれた世代」である団塊世代を支える余裕は、団塊ジュニアより下の世代には、はっきり言ってありません。冷たいようだけれど、「親は親、自分は自分」という割り切りが必要になってくる。ましてや「親の介護要員としての嫁」を期待している男性など、女性は選ぶはずもありません。この点は深く共感しました。

 

③女性に余計なことを言わない(法則20)

お見合いは、女性と会話を楽しむ場ではありません。みなさんが結婚相手としてふさわしいか、女性から見定められる評価の場です。女性は減点方式で男性を評価します。減点となる、そもそもの原因は男性が女性に余計なことを話してしまうことにあります。自分の発言で、自分の評価を下げているのです(「中年婚活」154頁より引用)

第4章「婚活傾聴 お見合いで女性の心を掴むコミュニケーション術」では、著者の真骨頂である「傾聴」のノウハウが紹介されています。

お見合いを重ねながら次に繋がらない男性の多くは、女性に対して「余計なこと」を言ったことでフラれるそう。その失敗を回避する方法が「相手が話して、自分が聞く」という傾聴です。

お見合いの場で言ってはいけない「余計なこと」の具体例として紹介されているのが「自慢話」「趣味・パチンコ・風俗の話」「仕事の話」「家族の話」「友達・仲間の話」「お金の話」「前妻・元カノの話」「結婚を想定した話」。「じゃ〜何を喋ればいいの??」という感じですが、「言ってはいけないこと(地雷)」が満載だからこその傾聴(自分は喋らず、相手の話を聞く)ということに繋がるのだなと感じました。「自慢話」が、言ってはいけない余計なことの筆頭にくるのも頷けます。

 

そして、50歳男性をターゲットにした本なのに、属性が違う私が「面白い!」「読後感が妙にすっきり!」と感じた背景には、著者の中村さんが「男性」の立場で、旧来の日本社会における「男性の特権」である「男尊女卑」や「家父長制」について「それらを滲ませた態度を続けているとモテないよ〜、相手にされないよ〜」と強いメッセージを発している点にあります。

女性目線で読むと「溜飲を下げる」ことができるというか。「そうそう!そうなのよ!」と膝を打つ指摘が連発されているのです。

 

そして女性にとっても、婚活をしていない人にとっても、本書で提案されている「婚活を成功させるための法則」は、自分を徹底的に客観して、社会に居場所を見つけて幸せに生きていくのに役立つと感じます。

本の表紙に大きく書かれている「ありのままの自分で戦わない」というキャッチコピーは、婚活以外でも、仕事の場面やその他の人間関係にも通じます。

人間は第一印象で判断されるし、年収やその他のスペックで評価されるし、残酷に選別されるということを受け止めて、「他者から自分はどう見えるのか」を意識して立ち振る舞うことは、自分自身が幸せに生きるための処世術。どんな属性の方にも、読めばヒントになる項目が見つかる1冊だと思います。

 

ちなみに中村淳彦さんの代表作「東京貧困女子」(東洋経済新報社)は朝ドラ女優の趣里さん主演でドラマ化され、今秋放送予定とのことです。

「東京貧困女子」の話は過去記事に▽

 

yuringo738.hatenablog.com

余談ですが、お片付けブロガーの立場では、本書の「おわりに」で「幸運を引き寄せる第一歩は、掃除や整理整頓です」とあったのが嬉しかったです。

 

いつも心に底辺を〜。