駅ビル内の雑貨店のディスプレーを筆頭に、クリスマスからお正月への圧倒的な変わり身の速さが好き。
今週のお題「買ってよかった2024」 に乗ってみます。
今年買ってよかったモノといえば、なんといってもこれ。
リビングの一画に設置した、カールハンセン&サンのキューバチェア、レ・クリントのフロアライト「スノードロップ」。そしてパリ五輪のタイミングで買い替えた、インターネットにつながる素敵テレビ。間接照明で楽しむ「映画鑑賞コーナー」です。
さらにガイドブックとして購入したのが、こちら▽
宮岡太郎著「後味が悪すぎる49本の映画」(彩図社)
下記の4つのチャプターに分けて、「あまりに救いのない怪作」と評される49作品を紹介しています▽
①悲劇の中の人間を描いた映画
(縞模様のパジャマの少年、ダンサー・イン・ザ・ダーク、火垂るの墓など)
②戦慄のサスペンス&ホラー映画
(セブン、ミスト、女神の継承など)
③世間に一石を投じる映画
(誰も知らない、ホテル・ムンバイ、岬の兄妹など)
④胸糞の悪さを突き詰めた映画
(愚行録、ハウス・ジャック・ビルト、マーターズなど)
9月から、アマプラやネトフリ、GEOの宅配レンタル等を活用して順番に鑑賞してきました▽
サブスクで配信されていなかったり、GEOでもずっと貸出中だったり取り扱いがなかったりする「幻の作品」を除き、2024年12月現在で、リスト掲載の49作品のうち、40作品を視聴しました。
暴力、犯罪、虐待、貧困、病気、事故、戦争、差別、偏見、格差、毒親、カルト、ドラッグ、復讐、サイコパス、悪意…
この世のありとあらゆる「最高の後味の悪さ」が凝縮された40作品を鑑賞してみて改めて感じたのは、人生は理不尽で不公平で不条理で、成功も幸せも平和も何一つ約束されたものではないという当たり前のこと。
あったかい部屋でテレビジョンの前に座ってフィクションを眺めてはいるけれど、それは崖の淵に立って谷底を覗き込むような感覚で、自分自身もフィクションの舞台となった「地獄」に転落する(していた)可能性がある(あった)ということ。
「私だったかもしれない人生」を、椅子に座りながらいくつも体験できるのが物語の素晴らしいところ。
「どうして君はわざわざ寝る前にそんな鬱になりそうな映画を観たがるのか」と首を傾げる夫に私は伝え続けます。
「予防接種みたいなものよ」と。
生きていると衝撃的で不可解な出来事にいくつも遭遇しますが、一つ一つ体の中に貯めておいた「後味の悪いフィクション」が免疫の役割を果たし、つらい物事も俯瞰して捉える一助になってくれます。
遠回りなようでも一本ずつ映画を観て、一冊ずつ本を読んで、体内に「強固な免疫」をつくることが、変な世の中で健やかに生き延びるための助けになってくれると思っています。
今年買った椅子と照明とテレビジョンのおかげで、心の免疫力がちょっと上がった1年でした。