金曜日に早寝するなんて人生を損してる。週末は夜更かししたい、収納しない系お片付けブロガーの優多(ゆた)です。
時々、足を運んでいる私設図書室(カフェ併設)があります。
一区画を有料で貸し出す「本棚オーナー制度」のあるお店で、木の板で仕切られた小さなボックスごとに、オーナーさんの個性あふれる「おすすめの本」が並んでいます。
そこで出会った、なんとも味わいのある1冊がこちら▽
関根虎洸「遊郭に泊まる」(2018年発売・新潮社/とんぼの本)
1958(昭和33)年に売春防止法が施行され、「遊郭」はなくなりました。
ですが、転業旅館や飲食店として、建物が残っている元妓楼が全国各地に存在します。
そんな希少なスポットを訪ね歩き、当時の様子を知る人々の話なども掲載しているのが本書です。
現役営業中の「泊まれる遊郭」を渾身取材。独特の意匠を誇る廓建築の内外観を隅々まで撮影し、往時を知る人々の証言を収載。奇跡のように残された20の「夢の跡」へ、ディープにご案内する。(新潮社ホームページより引用)
表紙になっている青森県八戸市の「新むつ旅館」、新潟県佐渡市の「金沢屋旅館」、三重県伊勢市の「麻吉旅館」など、全国各地に残る「遺構」が豊富な写真とともに紹介されています。
年季の入った飴色の床、今にも遊女たちが下りてきそうなY字階段、転業旅館で提供される素朴な食事(なんてことない焼き魚、皿の隅に添えられた1粒の小さなイチゴがなんとも味わい深い…)、毛布が3枚重ねられた寝具…。
どの建物も調度品も古く、決して「オシャレ」ではない。
けれど、写真の隅々まで見入ってしまう不思議な魅力があります。
それはきっと、そこに生々しいほどの「人間のにおい」を感じるから。
有名デザイナーが手がけた家具やスタイリッシュな最新家電を並べたモデルルームには醸すことができない、匂いたつような「魅力的なダサさ」があるから。
いわゆる「オシャレな部屋」が薄っぺらく感じられてしまうような、圧倒的な空間。
きっと、さまざまな思いを抱えた人が集っていた元妓楼という場所だからこそ、消えずに残っている雰囲気。
片付いた部屋も、モノで溢れて部屋も、広い部屋も、狭い部屋も。どんな部屋にも、そこで生きた人の「思い」のようなものが、やはり残るのだと思います。
「人が暮らす・暮らした空間」というのは、興味深いなあとしみじみ感じます。
機会があれば「泊まれる遊郭」に泊まってみたいなあ。
「ダサさとオシャレ」をテーマにした過去記事はこちら▽
きっと、どんな部屋も美しい。
明日も愉快な人生を〜。