収納しない系お片付けブロガーの優多(ゆた)です
昨日3月5日のネットニュースがちょっと話題になっていました。
閉店が相次ぐ「町の書店」を支援するため、経済産業省が経産相直轄のプロジェクトチームを設置したとのこと。書店から要望を聞きつつ、集客に成功した書店に事例を報告してもらう会合を開いて全国の書店への周知を図るそうです。
インターネットの普及などにより、全国の市区町村で地域に書店が一つもない自治体は約4分の1にのぼります。斎藤経産相は会見で「書店は新しい発見があり視野が広がる、日本人の教養を高める基盤」と指摘し、海外の事例も参考に書店支援に取り組む考えを述べました。
「町の書店」は、私が暮らす地域でもここ数年でいくつも閉店しています。
本好き、書店好きとしては寂しい気持ちでいっぱいだし、「知らない世界」に連れて行ってくれる素敵な本と出会う場所は身近にあって欲しい。
でも、加速度的に少子化が進む日本で、今から「田舎の小さな書店」の存続に力を注ぐことが効果的な策だとは思えません。人口減少のペースは中山間地ほど深刻です。「本を読む人間」の絶対数が減っている中で、「町の書店」を存続させることは容易ではないでしょう。
「紙の本」は質量のある物体です。デジタル書籍と異なり「陳列する場所」が必要です。人口の少ない地域でエッジの効いた品揃えは難しいでしょう。スペースが限られる中、採算を取るためには陳列する本は「最大公約数」にならざるを得ない。つまり、売れている本ランキングの上から順番に「ベストセラー」を並べるのが最も無難な方法です。
この「最大公約数の陳列」では、どこの書店に行っても同じような本しかない状態が生まれてしまいます。ふらっと入った書店で、「発行部数は多くないけれど、作り手の根性を感じる本」(伝わる?)と出会う楽しみは期待できません。
経産相の言うとおりに「書店」が日本人の教養を高める基盤ならば、
「書店」という箱を現状のまま維持することよりも、
独自の目線で本をセレクトし、「この本の隣に、この本を置く?!」と本好きの客を魅了する「物語のある本棚」をつくれる、プロフェッショナルの書店員が必要だと考えます。
本が売れない、そして田舎の自治体がこぞって「新しくて豪華な公立図書館」が次々とオープンさせる中で、個性的な新刊書店が生き残るのは相当に困難でしょう。
ミニマル派の私としては、やはり「紙の本」を売る書店はある程度の都市部に集約し、広大な売り場面積を確保する必要があると考えます。広い売り場があれば、利益を確保するベストセラーの他に、「あまり売れないけれど気概のある良書」も並べることができる。「売り上げに貢献してくれる商品」をしっかり売ることで、「売れないけど個性のある本」を並べて多様性を担保することができる。そして、きちんと対価を払ってプロフェッショナルの書店員を雇用・育成すること。
「本を読む文化」を維持するためには、書店の集約(=没個性な田舎の書店の淘汰)とプロ書店員の待遇改善こそが不可欠と考えます。
ミニマリストの視点で綴った「人口減社会の在り方」についての過去記事もご参照ください▽
書籍を含む「文化」が身近にある生活を望む人々は、田舎を離れて都市部に移り住むことが促進されると思います。人口減が進む中、書店を含む文化のインフラは「選択と集中」が必要です。「町の書店がなくなって不便、寂しい」といったノスタルジーでは、誰も幸せになれない。本が好きだからこその、思いです。
明日も愉快な人生を〜。