朝起きてリビングに降りた瞬間から、何だか嫌な予感がしたんだよな。
昨日までなかったハズのモノが突然、電子ピアノの上に置かれている。
何なの、あの珍奇な物体…
恐る恐る、近づいてみる。
なにこれ…もう…
形状が変だよ…もう…
もうやだ…やだよ、アタイは嫌だよ…
珍奇な物体設置の下手人は、きのう深夜に帰宅した夫です。
「会社の後輩が誕生日プレゼントにくれた」んだってさ。
Amazonにあった▽
物体に罪はないと分かってる。でも、絶妙に婉曲した針金が虫の脚っぽくて何だか好きになれないのGOMEN!
秒で不用品認定だYO!
この、夫の誕生日に欠かさずプレゼントをくれる後輩さんのことは知っている。
会ったこと無いけど、知っている。
このかた、去年は夫の誕生日に「GOSSO(ゴッソ)」を贈ってきた。
ゴッソってこれ▽
ブラジリアンワックス鼻毛脱毛キット。電子レンジで樹脂を溶かして鼻の穴に突っ込んで引き抜くと、ごっそり鼻毛が抜けるというスグレモノ。
なんだけど、ウチは鼻毛はシェーバーで処理する系の家庭なんザマス。ゴッソは夫の許可を得てメルカリで売ったザマス。
2年にわたる珍奇な贈答品のチョイスから垣間見える後輩氏のパーソナリティ…
「ねえ面白いでしょ? 先輩、オレって面白いヤツでしょ?」
っていう、媚びと自己承認欲求。これらを面の皮の下に忍ばせた妙齢男子の歪な笑顔を想像し、アタイは思わず顔を背けてしまうの。
それでまた、苦笑いしつつも「どうもー」とか言って受け取る善良な夫の姿を、なんならサービス精神を発揮して「何だよこれwww」とか言って男同士で束の間のじゃれ合いを繰り広げる姿を想像してため息が出るの。
贈答において意識的に「ウケ狙いの品」を選ぶという媚態。そこには受け取った側に課される後始末のコストという意識が全く欠如しているのであります。
そんで、この完膚なきまで不要な品物を、のんきに自宅に持って帰る夫にも不当な不満を抱いてしまうのGOMEN。
少子化対策には円満な家庭の構築が不可欠だと考えます。
そうであるならば東京都知事は、率先してこの「ウケ狙いの贈答品問題」の解決に心血を注ぐべきではないでしょうか。
ねえ、アタイこれ捨てたい。
すぐさま捨てたいよ神様。
だって使わないもん。形状が何だか好きになれないんだもん。
だけど…「他人の持ち物を勝手に捨てること」は片付け界の禁忌ざましょ…。
夫婦といえども、他人ざましょ。
「他人の持ち物を勝手に捨てる」の禁忌を犯したら、もれなく地獄に堕ちるのざましょ…
アタイ、極楽を希望。地獄に堕ちたくない。
捨てたいけど、捨てられない。
キイ!
夫の職場の後輩男子、聞いていますか。
あなたがウケ狙いで選んでよこした贈答品が今、ひとつの善良な夫婦関係に亀裂を生もうとしているざます。ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきがテキサスで竜巻を起こす…。まさに予測不能なカオス。バタフライエフェクトざます。
突き詰めれば、夫婦は他人です。
異なる人格と趣味嗜好を持った別々の人間です。
夫の側にだって言い分はあるでしょう。
「キミだって訳の分からないカプセルトイを家の中に勝手に並べて楽しんでいるじゃないかッ!それこそ愚の骨頂、無駄の極みではないかッ!」等と昭和の文豪調(想像)で詰問されたら、アタイはぐうの音も出ません。
モノに罪はありません。
夫がそれに至便性を見出しているのなら、譲歩しましょう。
せめて家族が円満に笑顔で暮らすために、早急にリビングの電子ピアノからあのマッサージ器具を撤去し、会社に持って行って妻から見えない場所で秘密に使って欲しい。
冷静さが売りのアタイなので、この点は真摯な態度で夫の説得を試みようと思います。
かえすがえすも、ウケ狙いの物品を深慮なく妻帯者に贈ってくる後輩氏には枝豆の殻を投げつけたい衝動を禁じ得ません。
面倒くさい女だな…ですって?
贈答品にケチつける心の狭い女きっつー…ですって?
そーよ悪い?
贈るなら、食べたら消える亀田製菓の柿の種(アタイは梅味が好き)にして欲しいYO!
んーもぉーーー
キイ!
今日は飲む!(金曜日だしね)
いやしかし、ここまで買いてふと思ったけれども、もしかしたら後輩の人は決して「ウケ狙い」のつもりではなく本気で「これを贈ったら喜ばれるハズ」と思って誕プレに選んだ可能性も無きにしも非ずですね。あらゆる可能性を排除しないのが民主主義。
だとすると色々と前提が変わってしまいますね。
でもまあ取りあえず、贈答先の家庭に無用な軋轢を生まないために、気軽な贈り物は亀田製菓の柿の種(できれば梅味)にしとくのが無難だよって話でした。
今日は飲む!