収納しないブログ

持ち物を減らして収納術不要の暮らしを目指す、ミニマル志向の30代。

「60点の世界」で、心穏やかに生きる。

「60点で十分」、というのが父の口癖で、上昇志向が強めな子供だった私はその言葉を「おとーさん、目標値が低過ぎませんかね」と鼻白んだ気持ちで聞いていたものでした。

100点のテストを見せても「60点で十分」、ことあるごとに「60点を目指せ」と呟いていた父。田舎の小さな村の公務員だった父。毎日定時で帰宅し、玉ねぎスライスをつまみに晩酌をしていた父。不器用で、子供の視点で見ても、お世辞にも「仕事ができる」タイプではなかった。

だけど、「60点で十分」という父の口癖は、それはでも私たち子供に向かって呟いていたというよりは、自分自身に言い聞かせる言葉だったのかもしれないと、自分が大人になった今は思うのです。

ギリギリと、自分にとっての「100点」を追い求め過ぎない。物事を詰め過ぎない。「遊び」の部分を残しておくこと。

人生は一人で100点を取りに行くテストではないから、周りの人たちとそれぞれにとっての「60点」で妥協して、物事をなんとなく円滑に回していく術を学ぶ。そして「みんなが60点で妥協する世界」は「一人が100点を取る世界」よりも穏やかで、快適だと知る。

 

大人になって、しみじみと意味が分かってきた「60点で十分」という父の言葉。

年を重ねるって、愉快なことですね。

私は「60点の世界」で、周囲と調和し、かつ自分の軸を見失わず、無用に争わず迎合もせず、美味しいお酒を飲みながら過ごしたいと、心から思う次第です。