しみじみとパンチの効いた漫画だったよ…
益田ミリ著「ミウラさんの友達」(マガジンハウス・税込1430円)
大切な関係だって
小さなヒビから
パリンと割れてしまう
友達って
むずかしい
(マガジンハウスHP・内容紹介より)
主人公のミウラさんは、5つの言葉しか話さないロボット「トモダチ」とのルームシェアを始めます。ほのぼのとしたタッチで描かれる、ちょっと不思議な日常。
物語は終始、穏やかに進むのだけれど、
端々に「小さなヒビ」から「うまくいかなくなってしまったリアルな友人関係」が顔を覗かせます。
「トモダチ」が発するのは、作者(この人物とミウラさんの関わりが、また絶妙。)がプログラミングした4つの言葉と、購入者(ミウラさん)が選んだ1つの言葉の、計5つだけ。ザ・ミニマル…。
夜通し語り合うようなトークにはなりえないのだけれど、ミウラさんと「トモダチ」の言葉の掛け合いは、まごうことなき「友達同士」の会話になっているのが不思議。
益田ミリさん、改めてしみじみとすごい漫画家さんであることよ。
漫画を読み進めるうちに、「いつの間にか疎遠になってしまった、かつての友達」の顔(はっきりと思い出せなかったりもする)が浮かんできて、じんわり懐かしく、ちょっと寂しい、「前向きな諦め」のような気持ちが胸に広がりました。
読了後、
私が改めて感じたことは
「友達がいるって、素敵。でも、友達という存在を過大評価しないことが大事」ということ。
この本が伝えたかった本来のテーマとは、少し違うのかもしれないけれど。
肉体としての友達の存在そのものよりも、
人生のある時期を一緒に過ごしたという温かな記憶を大事にしたい。
「会えない時は会えない また会える時は会える」
「そんな感じなんじゃないの?」
「友達って 無理して会うものではないし」
物語の終盤で、
ミウラさんのお母さんが発する言葉です。
至言だと思うの。
▽「友達」についての過去記事もぜひyuringo738.hatenablog.com
去るもの追わず、な感じで一期一会を大事にしたい。
「ミウラさんの友達」、おススメです。