先日、ブログで「人生を豊かにするための、お金の使い方」について考えるきっかけになる本として、「DIE WITH ZORO(ダイ・ウィズ・ゼロ)」を取り上げました。
一貫して「楽しい経験に金を使うこと」、
そして「資産を増やし続けるのではなく、使い切ることを目標に生きること」の必要性を訴えている本なのですが、これを読んで、お金にまつわる実父とのエピソードを思い出しました。
父がくれた、5万円
新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いていた昨年12月末、県内でも高級な部類に入る温泉宿に、両親を連れて1泊してきました。父も母も目立った病気もなく元気なのですが、そうはいっても70代に差し掛かっており、孫を連れて「思い出づくり」の旅行をプレゼントすることにしました。費用は、私が全額出すつもりでいました。
ですが、父は宿に着き、部屋に案内されたあとで、私に白い封筒を差し出しました。
そして「2人分(父自身と、母の分)の宿代だから」と…。
中身は、なんと5万円。
最初から、旅行代金は私が持つ予定だったので、「要らないよ」と戻したのですが、「いいから取っておけ」と。
う〜〜ん。「親孝行」のつもりの温泉旅行だったのになあ…。
釈然としませんでしたが、父の気持ちだと思って受け取ることにしました。
「誰かのために使うお金」の価値
父が5万円を渡してくれた意味がなんとなくわかったのは、年明けに家族で実家に挨拶に行ったときです。
父はお酒を飲みながら「年に1回くらい、みんなでまた温泉に行けたらいいなあ」と、温泉旅行のことを本当に楽しそうに話していました。
お金を渡すことは、父にとって「経験にコミットするための行動」だったのかもしれないな、と、ふと思いました。
娘にプレゼントされる旅行ではなく、自分も主体的に関わった、旅行。
娘(私)の視点から見た親孝行としての旅行ではなく、自分(父)が主体的に関わるための旅行。
父がそこまで考えていたかどうかは不明ですが、なんとなく。父も、家族との思い出づくりのためにお金を使いたかったのかもしれない、と、そんなふうに感じました。
「思い出づくり」のためのお金
思い出には、明確な形がありません。
モノを買ったときのように、手で触ったり目で見たりすることはできません。
それでも楽しい思い出は、いつも私たちの胸の中に住んでいて、悲しいときや辛いときに、そっと寄り添ってくれる温かい存在です。
形のない「思い出」を作ることにお金を作ることは、生きるための心の支えとなる資産を作ることでもあります。
▽「DIE WITH ZORO」の詳しい中身は、過去記事に▽
▽昨年の、お金を使ってよかった!体験ランキングです▽
モノを必要以上に溜め込んだり、せっせと節約に励むよりも、楽しくて愉快で美しい体験に、きちんとお金を使いたい。
そうした体験は、心の中に積もっていって、なくなることのない財産になると思うから。
そんな、金曜日。