「シンプルなもの」を買う時こそ、細部にこだわって本当に自分がほしいと思えるものを選ぶ必要がある。少しの妥協が、命取りになることって、ある。
例えば、ダークカラーのシンプルなワンピース。
5月の終わりに、ショッピングモールに入っている手頃のブランドで、手頃な価格のワンピを買った。5500円。グレーがかった黒で、色味も悪くないし、生地もそれなり。デザインは、ウエストをひもできゅっと結ぶタイプで、背中の後ろはブラウジングしたみたいにふわっと膨らんでいる。ちゃんと試着もして、まあいいんじゃないと、きちんと納得して買ったはず、なのに…。
休日に、家の鏡の前で袖を通してみると…なんだかもっさり、太って見える。
なんだこれは?
でも、「敗因」は、自分でもちゃんと分かっている。
試着したときに、私は妥協したのだ。背中のブラウジングは、私の体形には似合わないというのは、分かっていた。骨格ストレートタイプの私に、ふんわりブラウジングされたやわらかい印象のワンピは、似合わない。
…だけれども5500円という「価格」との見合いで、「まあいいか」と妥協したのだ。
せっかく買ったワンピースだから、休日のたびに袖を通した。
6月と7月の2カ月間で、週末を中心に計7回着用した。
だけれど、着て外を歩く度に「この服じゃない…」感じ、しっくりこない感じ、居心地が悪い感じが募ってしまった。
結果…。8月を待たずに、私はこのワンピースを手放すことに、決めた。
好きな服着て、夏を楽しみたいよ。
県内のとある景勝地は、ごらんのとおりのすっからかん。
人との距離を保ちつつ、似合う服着て日々を過ごしたいのよ。
そして、新しく選んだのは、同じくシンプルなダークカラーのワンピース。
先頃のブログで紹介した、ギャルリー・ヴィーの綿100%ワンピ。
価格は1万6600円。先に買った黒ワンピの約3倍。
価格は3倍、だけど、来た時の満足感、からだにしっくりなじむ感じ、服を着た自分に自信を持って歩ける感じは、金額以上の価値がある。
「高いものがいい」というものではないけれど、「価格の安さ」を重視して選ぶと、結果的に、「洋服がくれるマジック」を、ちゃんと享受できないといった悲しいことになる。
洋服は、裸の状態の自分よりも、何割増しか素敵な人間に見せてくれるものでなくちゃ、いけないと思うの。太って見えるなんて、論外。
そして、私が着用7回で手放すことになった、5500円のワンピースも。
きっと体形に合う人が着たならば、その人の日々を長く美しく彩ることができたはず。
「妥協した買い物」は、消費者にとっても、洋服にとっても、幸せな結末につながらない。
似合うものを、選び取るスキル。育てていきたい。
まだまだ失敗もあるけれど…
日々に寄り添ってくれる洋服だから。できる限り後悔のない選び方を、していきたい。